糖尿病の薬とインスリン
適切な血糖値を目指す
糖尿病の治療薬は日々、飛躍的に進歩しており、良い治療薬の種類も増えています。
これらを患者の皆様ひとりひとりに合わせてチョイスし、いかにうまく組み合わせて治療していくかが私の重要課題です。
膵臓のβ細胞からインスリンが出てきますが、これを保護していくようなタイプの薬の組み合わせや、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい体の状態)を解除しながら最低限のインスリンで血糖値を良好に保てるよう、また決して低血糖を起こさないような治療を重視しています。具体的にはメトホルミン、DPP4阻害剤、SGLT-2阻害薬、αグルコシダーゼ阻害剤、最少量のSU剤、グリニド系薬剤などを単独または組み合わせて使用します。低血糖を起こしやすい薬剤は最少量で使用致します。また糖尿病の方は、ある種の発癌がやや多いとされており、これを抑えるような治療も考慮しています。漢方薬も必要に応じて有効と考えられる場合は組み合わせて処方しています。
2型糖尿病
1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)の場合はもちろん、2型(インスリン非依存型糖尿病)の方にも、必要と考えれば躊躇なく積極的インスリン治療を導入していきます。しかし血糖値の下げ過ぎはかえって弊害をもたらすことが知られており、適切なさじ加減で行います。これは近年、インスリン注射剤とその器具の進歩で外来でも容易に導入が可能となったからです。
改善した場合はインスリン治療からの離脱も可能な限り試みます。インスリンを減量できるような薬物治療と併用してインスリンをやめる方向にもっていく場合が多いです。また、非常に血糖値が高い場合、一過性にインスリンを導入して血糖値を下げ、すぐにインスリンを離脱していく治療法も施行しています。
また、各種インクレチン注射(腸管から出るホルモンでインスリンを分泌させる、体重減少効果、グルカゴンという血糖値を上げるホルモンを抑えるなど)や、インクレチンの作用を増強する薬(DPP-4阻害剤)も使えるようになり、患者の皆様の病態に合わせて標準的な方法にて治療に使用しております。
糖尿病の合併症
糖尿病では高血圧症、脂質異常症を合併することが多く、これらに対する適切な治療が不可欠です。糖尿病による網膜症、神経障害、腎臓の障害、さらに心筋梗塞、脳梗塞、他の動脈硬化性疾患の予防や再発悪化の予防なども重要な課題です。
当院ではそれぞれの問題にすばやく対処できるよう体制をととのえています。
院内での検査はもちろんですが、必要に応じた病診連携(総合病院への紹介)もスムーズに可能となっています。